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個人名が呼ばれる組織とそうでない組織
 組織開発のプロジェクトをお手伝いする際に、先ずその組織でどんな会話が
飛び交っているかを注目します。中でも主体を表す表現はどんなものが多いか、
チェックポイントの一つにしています。

 ここでいう主体とは、具体的なアクションを起こす人のことを示しています。
「○○さん」と言った個人名で会話されることが多いのか、「経営幹部」「若
手社員」というグルーピングされた呼称が多いのか、それぞれの組織ごとに特
徴があります。当然規模が小さい組織の方が、個人名で呼ばれる確率が高いわ
けですが、大きな組織でも個人名が頻繁に出てくる組織もあれば、逆に小さな
組織でもグルーピングされた呼称ばかり出てくるようなケースもあります。

 組織の規模に限らず、個人名が多く出てくる組織は、一人ひとりの存在が認
められている感じで、比較的コミュニケーションが円滑な組織が多い印象を受
けます。逆にグルーピングされた呼称が多い組織は、一人ひとりの存在がはっ
きりせずに、コミュニケーションにおいても円滑ではない組織が多い印象を受
けます。

 現場で課題を洗い出す際に、「経営幹部の理解がない、若手社員はわかって
いない」と言った、グルーピングされた呼称でネガティブな内容が語られる場
面があります。しかし実際は、経営幹部の全ての人が理解していないわけでは
なく、また一人をクローズアップしても理解している部分とそうでない部分が
あることがほとんどだと言えます。若手社員も同様で、全員がわかっていない
のではなく、一人ひとりわかっているレベルが異なることがほとんどだと言え
ます。
 一人ひとりの状況を踏まえずに、グルーピングされた呼称で呼んでいるだけ
では、課題の輪郭がはっきりせず、解決の糸口が見え難くなります。

 言い古された表現ですが様々な場面で多様化が進む中で、どれだけ個々の存
在に焦点を当て、個々の保有する力を組織の活力に結びつけるかが大きなテー
マになっています。その前提として、まずは一人ひとりの状況や存在を丁寧に
扱うことが今後益々必要になるのではないでしょうか。


             (2018/10/01 人材開発メールニュース第992号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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