Back Number

「人並み以上に」働いた先には…?
 公益財団法人日本生産性本部が発表した今春入社した新入社員アンケートに
よると「働き方は人並みで十分」と答えた新入社員が61.6%で過去最高になっ
たという。「人並み以上に働きたい」が31.3%に留まり、二倍近い差がついた
という。ちなみに「人並みで十分」は2013年以降、増加傾向が続いているとい
う。

 日本生産性本部の調査担当者の分析によると「ブラック企業が問題になるな
ど、働くことにネガティブな意識が持たれているのではないか。意欲が後退し
ている印象」とのことである。確かにその分析も十分、うなずけるところであ
る。私は加えて、人並み以上に働いた「先に(確かなものが)見えないこと」
が考えられるのではないかと思う。

 私が細々と研究しているものに“自己効力感”ある。カナダ人心理学者であ
るバンデューラの理論であるが、人が意欲的に努力を継続していくためには、
「ある努力をすれば、きっと成功するだろうという確実な見通しがあること=
効果期待」と「自分はその努力を本当に実行できるという確信、自信=効力期
待」の二つが必要だという。

 一方で、「人並み以上に」働いた先には、確実に見通せる成功像は何であろ
うか。
 入社すれば誰もが退職まで保証された人生モデルは既に崩壊し、逆に、モデ
ルや手本のない時代である。「人並み以上に働く」ことで得られる魅力的な未
来や価値を示してあげないといけない時代かもしれない。


             (2018/07/23 人材開発メールニュース第983号掲載)


Go to Back Number Index
Go to Top Page