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変化する期待を丁寧に扱う
 サッカー・ワールドカップで二大会ぶりに日本がグループリーグを突破しま
した。正直なところ開幕前の状況を見ていると、グループリーグ突破を予想す
る人も少なかったのではないでしょうか。その一方で、グループリーグの最終
戦、ポーランド戦の戦い方に関しては賛否両論が渦巻いています。サッカーの
話題に限ったことではありませんが、同じものを見ながら、湧き上がる感情は
それぞれ違いがあることを改めて実感しました。

 違いの背景には、それぞれの期待が反映されていると言えます。結果に対す
る期待もあれば、プロセスに対する期待もあります。最初(事前)から明確に
認識しているものもあれば、事実(事後)を見ることで、後から気が付くもの
もあります。また、最初の自分が抱いた感情も誰かの意見を聞く中で変化して
いくこともあります。期待は、時間と共に変化していくと言えます。

 組織の中で起こる葛藤(コンフリクション)の多くも期待に対するズレから
起因していることが多いといえます。元々は似たような目的・目標を持ちなが
らいざ進み始めると、意外とイメージが違っていることはよくあります。具体
的な言動を見て、「何故あの人は、あんなことを言うのだろう、するのだろう」
すれ違いが増えれば増えるほど、不信感が高まっていき、関係の質が悪くなる
こともよくあることです。

 期待は絶えず変化します。また似ていると同じは微妙に違います。期待は変
動するものだと位置づけた上で丁寧に確認する、確認し続けることが必要です。
意見や意識の違っているものは明らかですが、組織の活力を停滞させるのは、
似ていると同じを混同して丁寧に扱われていない感情であったりします。
 今一度丁寧に確認してみる。何かを変えるではなく、相手や周囲の感情を理
解することで、関係性が安定することはたくさんあるのではないでしょうか。


             (2018/07/02 人材開発メールニュース第980号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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