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学生の自己PRに見る「ブラック」アルバイト
 小売業や外食産業での人手不足に関して、関連することにだが、学生の自己
PRを見ているとその一端が垣間見える。多くの学生が自己PRで使うネタはアル
バイトが圧倒的に多い。その中で最近感じるのは、「それってブラックじゃな
い」という内容だ。

 簡単に言えば、他のアルバイトがどんどん辞めていく、あるいは新しいアル
バイトが入ってこない。結局、今いるアルバイトにしわ寄せがくる。休みなの
に欠員が出てシフトに入ってくれと要請される、3時間勤務なのに勤務時間を
大幅に延長される、店長代理に任命されて社員不在の店の運営を任される…そ
うした話題が次々に出てくる。果ては、通常、店員3名、バイト5名程度で運営
(交代制)するのに、店員2名、バイト1名で24時間店舗を回す(交代無し)な
んて事例も飛び出す。

 それを学生たちは「根性がある」「忍耐強い」「責任感が強い」「責任を果
たした」「信頼された」「期待に応えた」といったキャッチフレーズで自分を
評価する。確かに責任感もあるし、頼まれれば頑張る、人の期待に応えたいの
もわかるが、逆に、その分、学業や他にやるべきことを犠牲にしているのも確
かであるし、どうみても利用されているとしか思えないものばかりである。

 「断れない」「イヤといえない」優しさや気兼ねに乗じてブラックが横行し
ているように感じる。模擬面接で「それブラックだろう」と指摘すると大半は
キョトンとした反応で、自覚がないというかある意味、洗脳状態にあるように
も映る。

 いかにアルバイト料が入ろうと、ブラックにも近い状態を断る学生も多くい
るだろうから、結局、「イヤといえない」学生にしわ寄せがくる。
 負のサイクルは永遠に回り続ける。


             (2018/05/28 人材開発メールニュース第975号掲載)


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