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納得性の高い制度を作るためには
 評価制度・賃金制度を策定する、または改定する場面において、よく聞く言
葉として「納得できる制度に…」という表現があります。それだけ、制度に関
して納得していない人が多いのかもしれません。

 ただ実際は、絶えず働く人々の価値観も変化しているため制度の部分におい
ては、納得性を完全に得ることは不可能であると考えられます。できる限り納
得性が高いものを提供しようとするのであれば、制度は絶えず変更する必要が
あります。そういう意味では、評価制度や賃金制度は作ったら終わりではなく、
作った後にどのような変更を加えていくことが必要かを明確にしておくことが
重要です。

 制度は絶えず変更が必要ですが、その変更を支える土台として、理念が必要
です。経営理念と同じように人事制度、評価制度、賃金制度、制度(システム)
を開発していくベースには理念が必要です。
 理念は「どうあるべきか、どうすべきか」を明示し、制度は「どのようにす
るのか」を明示したものであると言えます。中堅・中小企業で評価や賃金に対
して不満が多い現場は、理念をあまり議論しないままに、問題点を制度で片付
けようとするところが多いようです。前述の通り制度だけでは、間に合わない
課題がたくさんあります。

 評価制度や賃金制度を形成していくためには、経営理念を推進することに貢
献した人材、経営目標を達成することに貢献した人材が正当に報われる仕組み
が必要です。仕事ができるできないではなく、経営理念を推進する、経営目標
を達成することに重点が置かれる必要があります。加えて、理念を具体的に表
現をする際に、その現場で使用されている言語でブラッシュアップしていくこ
とが必要です。

 価値観が多様化すればするほど、納得性を追求することは終わりなきテーマ
であり、難しいテーマです。制度を作る前に一度理念を顧みる。理念を変えず
に、制度を変え続けることが納得性を高めるために最も効果的なアプローチで
はないでしょうか。


             (2018/05/07 人材開発メールニュース第972号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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