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本当に早期戦力化が必要ですか?
 今年も新入社員研修をいくつか担当させていただきました。採用が難しくな
るにつれ入口とも言える新入社員研修は、例年以上にソフト?丁寧な?印象を
受けます。いずれにしても大事に育てようと言う現れだと言えます。

 新入社員の育成を図る際に、学生から社会人への切り替えが必要だと言われ
ます。確かにこれまでとは大きく環境が異なる中で、新入社員が適応していく
ためには、変えなければならないことが数多くあるのかもしれません。早期に
戦力化を図ろうとすると、切り替えが必要なのかもしれません。

 しかし、当たり前のことですが、社会人らしく?しようとすると、その一方
で学生らしさ?を失うことにつながっていることもあります。組織を活性化す
る際には、新戦力も必要ですが、その一方でフレッシュな、染まっていない人
材が参加することで起こり得る化学反応もあります。そう考えると、新たに入
ってきた人材を一気に戦力化することが本当に組織にとってベターな選択かど
うかは一考する余地があると言えます。

 当然、どのような形、スピードで戦力化を図っていくかは、それぞれの組織
における経営戦略や人材戦略によるところが大きいと言えます。しかし、その
一方で離職率が高いと言われる職場ほど、早期の戦力化を求めすぎている印象
を受けます。新しく入ってきた人材の個々の特性・状況は、ほとんど気に留め
ず、早期戦力化と言うよりも組織の求めることを一方的に押し付け、ついてい
くことができなければそれまで…そんな雰囲気のところもあります。

 組織に対する貢献の仕方は様々だと言えます。本当に早期に詰め込むことが
良いことかどうか…人的資源が益々貴重になっていく上で再考が必要なテーマ
ではないでしょうか。


             (2018/04/16 人材開発メールニュース第970号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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