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就職指導の現場から(1)・2018年春
 今年も約250人の学生に対する授業が終わった。今年の特徴は、1つのキャン
パスがこれまでの選択必修から必修科目に変わり、履修者が異常に多くなった
ことと、選択科目でないので、本気で就活する気があるのかわからず、手探り
での指導になったことである。

 そして、もう一つの特徴が、休憩時間などで学生が「ちょっと良いですか」
と寄ってきて、自己PRの添削にでも来たかと思っていると「先生、ぼく(私)
ってどんな仕事に向いていますか」と質問してくることである。これまで毎年
1−2人はいた記憶があるが、今年は30人くらいに上る。

 「どんな仕事に向いているか」「適性があるか」「どんな仕事をやりたいか」
を自己分析や就活を通じて、情報収集や研究して意思決定していく授業なのに
…と授業の趣旨そのものに不安を覚えてしまった。

 本のタイトルは忘れてしまったが、某誌に“今どきの若手のメンタリティ”
といったものが載っており、そこで今どきの若者の特徴を『「正解を検索」メ
ンタリティ− どこか外側に正解を探し求める、自分で考える力が鍛えられて
いない』とあったが、まさにその傾向の現れだろう。

 就活は強い追い風、多少の自己分析の不足は企業側の甘くゆるい評価で補っ
てくれるだろう。
 ただ、「君は我が社に向いている」「君は我が社の仕事に向いている」と優
しく巧みにささやかれてほいほいと内定を受けるのだけは止めてほしい。

 自分の目で確かめ、自分の判断軸で相手の話を聞き、自分で考えて、よりベ
ターな選択をしてもらいたいものである。


             (2018/03/12 人材開発メールニュース第965号掲載)


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