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労働生産性を考える
 今年最初のワンポイント・アドバイスです。
 本年もよろしくお願いいたします。

 人手不足、働き方改革に関する話題が多い昨今ですが、同時にいつも話題に
挙がるのが「生産性」「労働生産性」というワードです。労働生産性が低いの
で…、労働生産性を向上させなければ…、よく使用されるフレーズです。人材
開発の領域でも労働生産性というワードが頻出しますが、正しく理解されてい
ないことがよくあります。

 一番シンプルな生産性に関する算出方法は、下記の式になります。
 生産性=産出(Output)/投入(Input)

 労働生産性とは「産出(労働の成果)」を「投入(労働量)」で割ったもの、
言い換えれば「労働者1人当たりが生み出す成果」あるいは「労働者が1時間で
生み出す成果」になります。

 成果を何で測るかによって生産性の意味合いも変わりますが、企業が新しく
生み出した金額ベースの価値、すなわち付加価値額をベースに算出する付加価
値生産性が、人材開発分野で通常使用されている労働生産性になります。

 従って時間当たり労働生産は、「付加価値額(成果)」を「労働者数×労働
時間(労働量)」で割ったものになります。「付加価値額」が分子、「労働者
数×労働時間」が分母になります。公益財団法人日本生産性本部では、付加価
値額を下記のような式で表しています。

 付加価値額=人件費+企業運営費+経常利益+減価償却費

 一番誤解されている点は、人件費が分子に入ることです。人件費はインプッ
トではなくアウトプット=付加価値額です。人件費をインプットとして誤解し
ていると(誤解されていることが多いわけですが)、本質的な生産性向上にた
どり着きません。
 人件費と経常利益の向上を目指しながら、労働者数と労働時間の適正化を図
ることが労働生産性を向上させる鍵となります。分子、分母が連動性を持つ中
で、戦略的に労働生産性をどう向上させるか、人材開発部門(担当者)に求め
られる大きな課題の一つです。


             (2018/01/09 人材開発メールニュース第956号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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