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人が集まらない時ほど絞り込む採用を
 人手不足・人材不足が深刻化する中で、採用したいと言う思いはあるが、人
が集まらない、特に新卒採用では、年々候補者を集めることが厳しくなった…
そんな声を聞く機会が増えました。特に採用の知名度が低い組織においては、
母集団形成、母集団というよりも一人の候補者を集めることも難しくなってい
ます。

 採用に関するお手伝いをする際に、必ず採用ターゲットを明確化、絞り込む
作業を行います。候補者がいる・いない、多い・少ないに関係なく、まずは、
こんな人材をできれば採用したいと言う理想像を明確にします。経験・能力だ
けでなく人柄なども含め、できるだけ具体的に絞り込みを行います。
 しかし、実際は候補者集めが難航している組織ほど、強い抵抗を示します。
「そもそも集まっていないのに、絞り込んでどうするんだ…」「そんなことよ
りも一人でも多くの人に会いたい…」よく出てくる会話です。

 ターゲットを絞り込むことは、一見間口を狭くしているようにも見えますが、
実際に行いたいのは、ターゲットを絞ることを通じて母集団形成のアイデア出
しにつなげることにあります。「○○の経験を持っている、××のような人で
あれば、このあたりを探すのはどうか…」そういったアイデアをたくさん出る
かどうかがポイントです。またターゲットを明確にすればするほど、仕事を探
している側にも、わかりやすいメッセージを伝えることができます。

 ターゲットを絞り込む際には、今の組織にいる人(現在の従業員)、または
これまで所属していた人(過去の従業員)がどんなきっかけやどんな経路で入
ってきたかを分析することからスタートします。ターゲットは架空の人物では
なく、できるだけリアルな人物を想定して絞り込みます。リアルな人物像こそ、
その組織における独自入手経路構築のヒントがたくさん詰まっています。

 人口、特に若年層の人口が減少する中で、母集団形成するような採用活動は
一部の大手企業を除いては、消滅していくかもしれません。候補者の中から選
考する採用ではなく、自社に必要な一人を探し出してくるような採用が増える
のではないでしょうか。


             (2017/10/23 人材開発メールニュース第946号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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