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「世界一のチーム」
 新年あけましておめでとうございます。
 本年も小事ばかりで恐縮ですが、お付き合いの程、宜しくお願いいたします。

 さて、早速の些事なのだが、サッカー界のスターが出演している栄養ドリン
クのテレビCMがある。大学のソーラーカーチームとの競演なのだが、レジェン
ドが「夢は?」と問うと出演者が「世界一のチームを作ること」と答える場面
がある。

 これを見るたび「世界一のチーム」とはどのような基準で評価されるのだろ
うか、ソーラーカーで世界一になれば「世界一」と言えるのだろうか。野球、
サッカー、バスケットボール…チームは競技の数だけあり、すべてに世界一が
あるのだから、この場合、「良いチームを作って、ソーラーカーで世界一にな
る」が言いたいことなのだろうとは思うが、毎々、首をかしげてしまう。

 というのは、現在、学生が就活で自己PRなどで話す「目標を立てたら絶対や
り遂げます」「目標達成に向け努力を惜しみません」などで出てくる“目標”
に悩まされているからである。競技タイムを何秒縮める、部活でレギュラーに
なる、試合に勝つ、○○検定2級に合格するといったものは未だましな方だが
(これも、更に大きな目標があり、それを達成するための手段だとは思うが)、
「友だちを作る」「積極的になる」「英語が話せるようになる」といった、目
標達成した姿をどうしたら評価できるのかがわからない。曖昧、抽象的すぎる
目標のオンパレードなのだ。
 もちろん、一人でも友だちができれば、「サンキュー」と言えれば、達成と
いえば達成だが、採用担当者はどう思うだろうか。

 「スマートモデル」に沿ってとは言うつもりはないが、少なくとも「測定可
能性」は確保してもらいたいと思う。
 模擬面接や自己PRで学生が発する「目標」という言葉を聞く度に「世界一
のチーム」をどう測定するのか、出演者に聞いてみたい衝動に駆られる。
 まあ、CMは目標じゃなくて『夢』だから、漠としたものでもいいんだろうし、
所詮、CMだから何でも言えるしね。


             (2017/01/10 人材開発メールニュース第907号掲載)


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