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職域、仕事に対する固定的な役割観の見直し
 昨年成立した「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍
推進法)」の影響もあり、昨年から女性活躍推進関連の相談を受ける機会が増
えています。

 女性活躍推進法が制定され、事業主(企業)は、女性採用比率、勤続年数男
女差、労働時間の状況、女性管理職比率など、自社の女性の活躍に関する状況
の把握、課題の分析を行い、その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取
組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表することが求められていま
す(300人以下の企業の場合は、努力義務)。

 企業規模に関係なく、女性が活躍する機会を作る素地として二つのことが大
切になります。一つは「採用数の拡大」もう一つは「職域の拡大」です。採用
数の拡大は、より女性の数を増やす取り組みです、一方の職域の拡大は、もっ
と女性が担当できる業務・フィールドを拡げる取り組みです。これまでの伝統
的な?男女観を排除して、結果的にこれまで男性しか担当していなかった業務
を見直し、「本当に男性でなければできないのか」、「女性がその業務に取り
組むためには何が必要か」を考える取り組みです。採用数の拡大と職域の拡大
の結果が、女性管理職の増加の基盤になります。
 女性の活躍が根付いている組織では、採用も勿論ですが、採用した人が定着・
さらに活躍していくためにも、「職域の拡大」について絶えず課題意識を持っ
て取り組んでいるところが多いと言えます。

 これからの組織運営において、女性に限らず「職域の拡大」について問いを
発することは重要です。「本当にその仕事はその人でなければならないのか?、
他の人に変えることはできないのか?」、すぐに変わらなくても、絶えず、そ
ういう視点で業務と人材の割り振りを考えている組織は柔軟性・機動性に富ん
でいる組織だと言えます。

 法律の有無に関係なく、以前から女性が活躍している組織では、女性が活躍
しやすい環境づくりに意識的に取り組んでいるよりも、経営課題に対応した結
果、女性も活躍しやすい環境になったということが多い印象を受けます。女性
だけに焦点を当てるだけではなく、性別や年齢や学歴・勤続歴に関係なく能力
を中心に人を見ている組織が多いと言えます。
 女性が活躍する機会が増えることは大切ですが、女性だけでなく、一人一人、
個々人の能力が活かされやすい「職域の見直し」「仕事に対する固定的な役割
観の見直し」が、益々必要ではないでしょうか。


             (2016/12/12 人材開発メールニュース第904号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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