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経験を個と組織の糧とする
 入社して三年位経過すると、同じ組織に所属していても人によって成長の差
を感じることがあります。特に大きな組織では、新人の頃から同じようなトレ
ーニングを受け、同じような経験を積んできたにも関わらず、三年位経過する
と個々の成長の差が見え始め、「できる人orできない人」…そんな視点に晒さ
れることもあります。

 その一つの要因として、経験から何を感じることができるか(できたか)と
いうことが挙げられます。入社三年目の社員に限ったことではありませんが、
同じような事象を目の当たりしながら、そこから何を感じ取るか、学び取るか
は人によって異なります。同じ事象を見ていいても、価値観や視点・観点が異
なれば、見ている事象も既に異なるのかもしれません。同じではなく似たよう
な事象を目の当たりにしながら、何を感じ取るか、学び取るかは様々なバリエ
ーションが存在すると言えます。

 新人や若手を育てる中で、「どんな経験を積ませるかは」大切なポイントで
す。しかし、まだまだ多くの職場では、何を経験させるかは考えているが、そ
こから先は本人次第という考え方も少なくありません。
 確かにそこから先は本人次第の部分もありますが、経験するだけでなく、そ
こから何を感じたか、学んだか、振り返りを行ったり、自分以外の人の振り返
りに触れてみることで、経験から得られるものが変わってきます。

 最近では振り返りや省察の重要性が認識され、その時間を増やす傾向にあり
ます。少なくともできるだけ早い段階で、振り返りや省察を行うことを行動と
して定着させることは、経験から得られる能力を増やしていくために必要です。
振り返り・省察の内容を反映して、次に経験させることをマネジメントしてい
くような進め方が今後益々必要です。経験が個と組織の糧になるような仕組み
が今後益々求められるのではないでしょうか。


             (2016/11/28 人材開発メールニュース第902号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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