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“士”への名称変更を考える
 「家政婦は見た」「家政婦のミタ」は過去の人気テレビ番組である。ちなみ
に、最近ではTOKIOの松岡さん主演の「家政婦のミタゾノ」が出ているという。

 ところが、これからは家政婦ではなく「家政士」が正式名称になるとのこと。
家政婦と家政婦紹介所の全国組織「日本看護家政婦紹介事業協会」が試験を実
施、厚生労働省の認定社内検定として「家政士」という“資格”になるという。
もちろん、同資格がなくとも家政婦になることはできるとのことである。なら
ば資格にする必要はないのではとも思うが、一定の知識・技術があることを証
明する手段にはなる。

 私は、現在、「宅地建物取引主任者」という国家資格を取得している。主任
者登録もしているので実務でも使える。実はこの宅地建物取引主任者も、2015
年4月より「宅地建物取引士」(略称:宅建士)と“者”から“士”に変わっ
ている。公認会計士、税理士、弁護士、弁理士…といった“士”業の人たちの
仲間入りをしたことになる。この宅建士は、いくつかの“士”とは違い、一定
の業務では専任(宅建士を持っていないと扱えない)業務がある。

 なぜ、主任者から“士”に名称を変える必要があったのか、どのような経緯
で変更することになったのか、変更になってから気がついた(5年更新まで時
間があった)ので、何ともいえないが公認会計士…といった“士”業の人のよ
うに、個人で仕事ができることはほとんどない(もちろん不動産屋を一人で開
業することはできるが)ので、大半が企業内に属している有資格者ばかりであ
る。

 そう考えると、所謂、“士”業の人たちとは異なるのに、名称を変える必要
があったのか、改めて気になるところである。一億総不動産屋、バブル経済華
やかな時代−当時の宅地建物取引主任者の受験者数は最ピークで42万人、一方
で、ここ4-5年は23万-24万人で推移している。ほぼ半減である。しかし、この
ところのゼロ金利政策、最近公表された基準地価の上昇もあり、再度、不動産
ブームからの宅建士受験者増になるか…どうかな。


             (2016/10/03 人材開発メールニュース第894号掲載)


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