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人口動態統計からみる量的な限界
 厚生労働省が5月に発表した2015年の人口動態統計によると、1人の女性が生
涯に生む子どもの数を推計した合計特殊出生率が1.46となり、2年ぶりに上昇
したという。前年から0.04ポイント上回り、13-14年の経済環境の好転が出生
率上昇に寄与したとのことで、めでたいことだが、残念ながら安倍内閣が目標
に掲げる希望出生率1.8には程遠く、人口を維持するのに必要とされる2.07は
はるか彼方だ。

 ところで、出生率の上昇ばかりに目を奪われがちだが、15年生まれた人は何
人かおわかりか。100万5千人を少し超えた数である。因みに今年、成人式を迎
えた二十歳は121万人、2035年に成人式を迎える二十歳は100万人強、20万人少
なくなるのである。昨年より2100人増えたが、過去最低だった昨年(100万1千
人)に続いて2番目に少ない。

 ご存じの通り、若年層は2018年から徐々に減少し始め、最低の出生率1.26を
記録した05年生まれが二十歳になる2025年から110万人を切る(05年生まれ106
万人)。120万人を切るのは2019年である。この由々しき事態にどう対応してい
くのだろう。

 「保育園落ちた日本死ね」のブログに端を発した保育士の待遇改善で、選挙
間近もあって与野党が競っているが、抜本的な政策を打たないと、出生率の微
増減だけに一喜一憂するだけで終わりかねない。

 もう、量的な限界は目に見えている。保育園問題も含めて国、自治体とも本
気で取り組み本当に“一億総活躍社会”にならないといけないのだろう。


             (2016/06/06 人材開発メールニュース第878号掲載)


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