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人を併せるのか?システムを併せるのか?
 毎年、新入社員研修のお手伝いをさせていただいていますが、新入社員の状
況を観察していると時代の動きや流れを感じることが多々あります。

 今年新入社員研修の現場からよく出てきたのは、思っている以上にパソコン
の使い方、操作がわかっていないという声でした。何となく若い世代はIT機器
を柔軟に使いこなしているイメージですが、実際はそれほどパソコンを使いこ
なしていない人も増えているようです。
 IT機器を使っていないと言うことではなく、パソコンよりもスマートホンを
利用する時間が増えているため、少し前と比べるとパソコンに触れている時間
が短くなったり、使用している範囲が狭くなったり、限定的になっているよう
です。
 特にここ数年で変わっているのは、入力処理です。スマホを活用する世代は、
キーボードよりも液晶ディスプレイ上でのフリック入力に慣れています。その
ため、改めてキーボード入力やパソコンに基本操作を教える機会が必要な場面
もあるようです。

 またもう少し先を想定すると、これから大学に進学する世代は、平成10年以
降に生まれた世代になります。彼らはフリック入力だけでなく音声入力も抵抗
なく使っている世代です。もはや機器にあまり触れることなく、音声でスマホ
などに話しかけ、検索などを使いこなす世代でもあります。

 彼らのITの使い方と、ビジネスの現場で使い方とのギャップが増えることも
予想されます。若い人が限定的にしか操作できないという捉え方もありますが、
逆に言えば業務系システムの操作性の改善が遅れているのかもしれません。

 いずれにしても、これまでとは異なるギャップが発生することも予測されま
す。新しく入ってくる人を既存のシステムに順応させることばかりを考ええい
ると、何かが欠けてしまうかもしれません。新しく入ってくる人が、存分に活
躍できるように既存のシステムを見直すことも必要です。

 ビジネスのあらゆる場面で、人を併せるのか、システムを併せるのか、問わ
れる場面が増えることが予測されます。同時に人材開発の大きな課題であると
言えます。


             (2016/05/16 人材開発メールニュース第875号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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