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冬の戦い・2015年−未体験を伝える
 年末に、ここ10年ほど恒例となっている大学での就職合宿を運営してきた。
数年前だが、NHKの7時のニュースでも取り上げられたものである。

 ご存じの通り、就職活動スケジュールの解禁(エントリー、説明会開始)が
3月1日に後ろ倒しされ、以前のように12月1日解禁後の合宿のような臨戦態勢
中的な緊張感はほとんどなくなった。

 この時期、学生が企業と会える機会は、インターンシップと業界研究セミナ
ーと称する「接触セミナー」だけであり、大半の学生がリアルな場を体験して
いないので、質問コーナーを設けても「何を質問していいか」もわからない状
態でもある。だから、盛り上がりに大きく欠けてしまう。体験していないこと
をリアルに伝えることの難しさをつくづく感じる。

 もう一つ、未体験を伝えることの難しさを感じるのは、この大学では就活に
成功した先輩たちを10人前後、就活アドバイサーとして合宿に来てもらう。学
生目線で後輩たちをサポートしてもらうという趣旨だが、3月1日の解禁は同じ
としても、採用選考は昨年の8月1日から6月1日と今度は「前倒し」されており
自身の体験・経験が通用しないのである。

 もちろん、現四年生自体、自分の就活スケジュールが大きく変わった年に就
活しており、その先輩たちの体験が参考にならなかったのは言うまでもない。
取り巻く環境や状況の非連続性に戸惑うばかりである。

 とはいうものの、就活の準備としてやることは基本的に一緒。アウトプット
する時期が異なるだけである。授業も含めて、この学生たちに教え準備させる
ことはたくさんある。私自身の戦いも続くのである。


             (2016/01/25 人材開発メールニュース第860号掲載)


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