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専門学校・長い校名から見えるもの
 ちょっとした街であれば、1−2校は専門学校があると思う(塾はどこの街に
も数多くある)。私の生活圏である小田急線・横浜線町田駅周辺にも10校近く
の専門学校がある。

 専門学校といえば、○○の部分が地名や学校法人名になるが、○○看護専門
学校、○○調理師専門学校、○○福祉専門学校と、何を学ぶ、どのような資格
を取得するのかが明確な校名が多い。

 ところが、最近、気がついたことなのだが、近くに○○簿記医療秘書公務員
専門学校 ○○医療ビジネス観光情報専門学校とやけにいろいろな名称のつい
た学校があるのだ。

 簿記医療秘書公務員専門学校でいえば、学ぶのは簿記や税理士・公認会計士
などの会計系、医療事務、秘書検定、公務員試験対策となる。医療ビジネス観
光情報専門学校であれば、医療事務、ビジネス系(簿記、販売士など)、観光
は旅行業務やホテル系の勉強、情報はコンピュータ系の資格取得やプログラミ
ングを学ぶことになろう。

 なぜこうした雑多な学習内容が並ぶ名称になるかというと、「医療」「秘書」
「公務員」「観光」「情報」…といった単体の科目では学生を集められないの
が実情であろう。一方で、大学のように総称では学生も学ぶ内容がピンとこな
いので、直裁的な表現で校名を表すしかないともいえる。

 2018年問題もあり、少子高齢化の構造的課題は将来に渡って解消されること
はないだろう。景気回復に伴い、若年労働者不足はますます顕在化する。大手
製造業に入るなら高卒、特に工業高校出の方が有利(昨年度の高卒就職率は約
98%)といわれ、高専卒は争奪戦の様相にあるという状況下。大学側もAO入試
で囲い込みは激しい。

 そんな中で専門学校も厳しい競争に晒されている現実が、長い校名に垣間見
える。



             (2015/11/02 人材開発メールニュース第849号掲載)


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