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職場での過干渉が増えている?
 先日、ある企業で面談をしている時に過干渉の話題になりました。過干渉と
は、相手の意志を尊重せずに、必要以上に干渉することです。過保護と過干渉
については子育てでも良く取り上げられますが、職場でも増えているようです。

 職場の過干渉と言うと、従来はハードマネジメントやマイクロマネジメント
という言葉に代表されるような、事細かにチェックしたり、指示通りに動くこ
とを要求される、そんなイメージでした。
 しかし最近は、もう少しソフトな?過干渉が増えているようです。しかもど
ちらかと言うと、細かくチェックと言うよりも、比較的自由度が高い職場で、
気が付いたら過干渉になっているということが増えています。

 例えば、後輩が困っているようであれば、すぐに話を聞いたり、アドバイス
を送ることが慣例化している職場があります。一見、後輩想いのやさしい職場
のような感じですが、「困っている」の捉え方について教える側−教えられる
側でギャップが生じると様々な問題が生じます。後輩や部下側からすると、ま
だ困っていない、まだ躓いていないのに、手を差し伸べられるようなことが続
くと、最初は有難く感じますが、徐々に面倒くさく感じたり、逆に信用されて
いないと不安に感じることがあります。
 良かれと思って手を差し伸べれば伸べるほど、関係がギクシャクする、不信
感が募り段々距離を置きたくなる、距離があることを心配して、また過度に声
を掛けると言った悪循環が発生する職場が増えているようです。

 教える・指導する側が、当たり前ですが、教える・指導することに懸命にな
り過ぎると悪循環が発生します。教える・指導することは、手段であり目的で
はありません。そう言いながら(分かっていながら)、教えることや指導する
ことが目的化してしまうことが多々あります。「何のために」教えているか、
指導しているかを見失ってしまうと、どんどん悪循環に陥ることになります。

 過干渉にならないためには、できるだけ様々な角度から関係性を見ることが
必要です。そのためには、教える−教えられるの一対一だけでなく、他の人に
も見てもらうことが有効です。一人で教える・指導するだけでなく、もう少し
多くの方が関わるような仕組みを作ることが必要ではないでしょうか。


             (2015/10/26 人材開発メールニュース第848号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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