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採用は循環構造である
 八月に入り、就職(採用)に関する話題が今年は一段と盛り上がっています。
 特に大企業の採用活動が本格化するにつれ、早めに採用活動をしていた企業
が内定と引き換えに就職活動の終了を強要する、いわゆる「オワハラ(就活終
われハラスメント)」が行われているというニュースが急激に増えています。

 先月発表された文部科学省の調査「平成27年度就職・採用活動時期の変更に
関する調査(7月1日現在)」においても、就活生の意思に反して就活の終了を
強要するようなハラスメント的な行為について、約7割(68.3%)の大学・短
大が学生から相談を受けていたと報告されています。昨年までに耳にすること
がなかった「オワハラ」が着実に増えています。

 採用する側の焦りも勿論わかりますが、オワハラにはメリットを感じません。
例えば、「自主性を持った学生を採用したい」と言いながら、オワハラに従っ
て入社してきた学生には、残念ながら自主性を感じることはできません。
 採用時に言っている事と、入社してやってる事・期待される事の乖離が大き
過ぎると当然定着も悪くなります。全てとは言いませんが、定着が悪くなる企
業ほど、満足度の高い採用ができないという悪循環を引き起こしています。

 こういう話をすると、現場で苦労している採用担当者からは、「仕方がない」
という言葉が返ってきます。知名度が無い、資源が乏しい、実績がない…様々
な理由を挙げて仕方がないという話題になります。

 前述の悪循環の話ではありませんが、採用におけるブランド作りは循環の構
造をどう作るかと言うことになります。企業の規模に関係なく、採用活動は、
今の動きが次につながっています。結果だけでなくプロセスも含め、今行って
いる採用活動が次の採用活動の下地になり、悪循環の要因になることもあれば、
好循環の要因にもなります。組織が継続体である以上、採用は今回だけで終わ
るということはありません。

 いかにして好循環に結びつけるかが今後の採用の課題になると言えます。規
模が小さい企業であればあるほど、独自性の高い好循環が求めれられます。
 何が本当に必要なのか?採用に関する大事なテーマになると言えます。


             (2015/08/10 人材開発メールニュース第838号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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