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就職指導の現場から・2015年夏(1)
 6月中旬、教え子の大学生から内々定の連絡がきた。
 これまで数人の学生から内定の連絡を受けてはいたが、失礼ながらベンチャ
ー系のそれほど大手でもなく知名度も低い企業ばかりであった。

 ところが、今回の企業名は数段ランクが上の東海地方の知名度の高い上場企
業であった。社名を聞いて「ビックリ」レベルでもあった。

 ご存じの通り、今年の就職・採用戦線は3月1日解禁の後ろ倒しスケジュール
なり、内定出しの目処は8月1日、もちろん倫理憲章に縛られない外資系や中堅・
中小企業は自由だが、今回内定を出した企業は憲章遵守の範疇に入る企業(も
とより破っても何ら罰則はないが)である。

 そこには、初めてのスケジュールで予測がつかない、今年流行した解禁前10
月─2月末までのインターンシップや業界研究セミナーでの学生との接触の成
果、そして“売り手市場”感、競合他社の動き…そうしたものが複雑に絡まり
「焦り」を生んだ結果かもしれない。

 当の学生曰く「このレベルの内定はラッキー!」但し、上位企業の選考は、
まだ残っている、別の業界だが、同じレベルのも同様、つまり体の良い『すべ
り止め』と見ているようだ。もちろん、現在残っている企業がだめでも今の内
定は確保できる。

 既に上場企業レベルでも内々定を出しているとの情報は多い。そこから「お
わハラ」という現象も起きている。

 何よりも怖いのは、8月1日以降、大手が内々定を出し始めたときの内定辞退
ラッシュの恐ろしさである。


             (2015/07/06 人材開発メールニュース第833号掲載)


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