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長く地方と関わる中で…2015年夏(1)
 地元や首都圏、関西圏で主に仕事をしている身だが、長年通っている地域が
私にはある。もう25年近く関わっている新潟や岐阜、そして青森や宮城県石巻
市が比較的関わりが多い地方であった。

 青森は、短大から四年制大学に移行するたまたまのタイミングで、知人を介
して紹介された大学である。短大での実績はあるが、四年制は未経験とのこと
で就職課の立ち上げから求人企業の開拓、就職指導まで全般に関わった。

 その青森が、有効求人倍率が過去最高になったとの記事に接する。青森に関
わって、ずっと頭を悩まされたのは青森県内の雇用環境の寂しさであった。過
去大半の年が求人倍率、失業率がワースト3以内であったと思う。大体、競う
相手は沖縄県と秋田県と記憶している。

 毎年、卒業→就職する学生に多少の増減はあっても、就職先は地銀2行、信
金1−2庫、自衛隊、警察・消防、地方公務員2−3人と地元の有力就職先と入る
人数は限られていて、それ以上は望めない。私が就職指導を担う際は「東京は
無限大」と1年生から東京に行くことを洗脳する日々であった。それでも地元
志向が圧倒的。

 それがどうだろう。青森県の求人倍率0.81倍と0.09ポイント増、医療・介護
での求人は12%増。
 多分、細かく見れば、「その程度?」というレスポンスになると思うが、過
去にはない状況はとても喜ばしい。

 そんな状況の青森の仕事だが、昨年度を最後に撤退した。いくつか理由があ
るが、就職指導も含めたキャリア講座が必須講座になり、これまでの臨時講師
的立場では時間的にも費用的にも対応できなくなったことが大きい。

 そして、もう一つ。私には青森に特化した地域的な情報の提供には限界があ
る。それでなくとも地元志向が強く、地元での採用余力も出てきたところでの
指導は学生のニーズとの間に乖離が生まれるのは目に見えている。

 こうして、蔭ながら青森を応援する立場になったのである。


             (2015/06/08 人材開発メールニュース第829号掲載)


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