4月に行われた統一地方選挙。
　どの政党・候補者が…ということはさておき、気になるのは歴史的低投票率
と無投票当選者の多さ、もはや選挙ともいえない状況を憂えるばかりである。
民主主義の崩壊といってもいいだろう。

　そんな中、目についたのは「私を選挙に連れてって！！」。そんなフレーズ
で統一地方選の投票率アップを狙った熊本県選管の選挙啓発CM。女性への配慮
が足りないと物言いが付いたとの報道である。同県議選（12日投開票）を前に、
県選管が企画会社に制作させたCMで、告示翌日の4日から流した。若い女性が
フレーズを叫び、微笑する若い男性が振り向くシーンから始まり、男性が壁に
手をついて強引に迫るスタイルの「壁ドン」で「期日前投票もあるよ」と告げ
て終わるものだそうだ。

　しかし、「私をスキーに連れてって！！」とは…1987年上映の映画である。
それに今流行の「壁ドン」をくっつけたアイデア、これを提出した企画会社も
会社なら、それを受け入れた選管も選管で、なんとまあ…である。女性への配
慮が足りないという以前に、ノーアイデアと言わざるを得ない。企画会議あた
りで「これで投票率は前回を上回ること間違いなし」とでも思ったのだろうか。

　で、結果はどうだったのか。投票率50.24％、過去最低だった前回の52.42％
を更に下回ったという。
　もしかしたら、「私を選挙に連れてって！！」CMを流さなくとも同じような
結果だったかもしれないが、CM制作費・広告費は税金から支払われているので
ある。様々な人や企業が知恵とアイデアを出した結果収めた税金である。

　それを無駄とは言わないが、工夫のないもので費消される…空しくはならな
いか。

 　　　　　　　　　　　　（2015/05/11 人材開発メールニュース第825号掲載）