Back Number

就労情報の開示の波が押し寄せる中で
 ようやく今年の新卒採用が実質スタートしました。様々なニュースでも取り
上げられていますが、今年は後ろ倒しの影響も含め、短期決戦、学生優位の売
り手市場だと言われています。

 企業側・学生側双方に言えることですが、世間一般で言われる市場観あまり
関係なく、それぞれどのような目的・方針で採用(就職)活動をするかで、市
場は大きく変わってきます。報道通り、売り手市場のところもあれば、そうで
ないところもあります。
 目的や方針がないままに市場に突入すると言われるような“売り手市場”に
なりますので、苦戦が予想される採用側は、目的や方針を明確に打ち出す必要
があります。採用に限ったことではありませんが、今まで以上に情報を開示す
る必要性は増えることが予想されます。

 実際、現在労働政策審議会で若年雇用対策の一環として、「労働条件の的確
な表示の徹底」と「職場情報の積極的な提供」が議題として挙がっています。
 特に「職場情報の積極的な提供」に関しては、募集する企業に対して以下の
情報を開示することを検討しています。
 (ア)募集・採用に関する状況(過去3年間の採用者数及び離職者数、平均
勤続年数、過去3年間の採用者数の男女別人数等)、(イ)企業における雇用
管理に関する状況(前年度の育児休業、有給休暇、所定外労働時間の実績、管
理職の男女比等)、(ウ)職業能力の開発・向上に関する状況(導入研修の有
無、自己啓発補助制度の有無等)。
 最終的には、法案としてどこまで開示を求めるかはまだわかりませんが、就
労状況の情報開示については、今まで以上に求められる状況にあります。

 個人的には、ただ単に数値的な情報を公開してもあまり意味が無いと考えて
います。例えば、離職の状況においても、「何人辞めたか」よりも「何故辞め
たか」の方が必要な情報だと考えます。
 しかし、数字的な情報開示の要求が高まる傾向は強まると予測される中で、
何を開示して何を開示しないのか、どう開示するのか、何を重視するのか、情
報開示・情報提供の選択が求められるのは言うまでもありません。

 採用・人事担当者の就労情報開示・提供に関するビジョンや戦略的な取り組
みが、事業に必要な人的資源の調達に大きな影響を与えると言えます。


             (2015/03/02 人材開発メールニュース第816号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page