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経営と人事の連動性−攻撃的・守備的
 組織を経営する上で、攻撃的(オフェンシブ)に進めることもあれば、守備
的(ディフェンシブ)に進めることもあります。市場や環境に関して積極的に
仕掛けていくことは攻撃的だと言えますし、逆に市場や環境の状況を見ながら
経営体としての体力を蓄えていくことは守備的だと言えます。どちらが良いと
いうことではなく、その時々の状況に応じて選択されるものだと言えます。

 同じように、人事・人材開発・組織開発においても、攻撃的な進め方や守備
的な進め方があります。何を持って攻撃的・守備的というかは、組織によって
異なります。例えば攻撃的な進め方としては、人事が経営や事業に関与し次か
ら次に施策を打ち出すこと、社内外から資源を調達する=採用や教育に力を入
れること、人事や管理部門の人数や体制や権限が増えること、などが挙げられ
ます。前述の通り、何を持って攻撃的や守備的と言うかは様々ですが、同じ組
織においてもある時期は攻撃的になったり守備的になったりします。

 どちらが良いということではなく、経営・事業との連動が大切なポイントに
なります。経営を攻撃的に進め行く場面においては、人事・人材開発・組織開
発も連動して攻撃的に進めることが効果的です、逆の守備的な場面においても
同様です。

 単年度や短期的に見ていると伸びたり落ちたりしていても中期のスパンで見
ると、事業規模が拡大している組織ではやはり連動性が高いところが多く、逆
に伸びが止まっている組織は、連動性が低いと言えます。人材がいないために
出店ができないという事象は、象徴的な出来事です。最近の傾向ですが、連動
が図れず、成長に綻びが見える場面が散見されます。

 労働市場から潤沢に人が供給される時代においては、連動を気にしなくても、
何となく連動していたというケースもあります。しかし、人材の供給が量的に
も質的少なくなる場面では、連動=戦略の質が問われます。

 前々から言われていたことですが、人口減少が進む中で経営と人事の連動性
は、さらに重要・重大なテーマになります。連動=戦略の質に大きな影響を与
えるのは、連動を企画・運用する人材です。誰が人事を企画し、運営するのか
〜人事部門の優位性がそのまま経営体の優位性につながります。禅問答のよう
ですが、経営の中で人事をどう攻撃的・守備的に位置づけるのか、経営者も人
事担当者も悩むポイントになるのではないでしょうか。


             (2014/12/15 人材開発メールニュース第806号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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