Back Number

管理者の『責務』
 先日、某上場企業の人事部長さんとお話をしていたら、今年に入って3人の
管理職(課長クラス)が役職辞退を申し出てきたという。これまでにもポツリ
ポツリと事例はあったが(病気や家庭の事情が主)、「管理職が辛い」「管理
職が務まらない」と自身から申告してきた例は初めてではないか、ということ
であった。

 大手企業の“管理職(課長)”という肩書き、入社以来、その肩書きを目指
してきた訳ではないだろうが、ライバルとの競争に勝ち、それなりの実績を携
えて辿り着いた肩書き、それ以降を目指す通過点であっても自らが放棄・辞退
することは勿体ないとも感じてしまう。

 以前、ある新聞で目にした『現代の管理者は、多重責務者』という言葉に、
管理者の置かれている立場が見える。

 管理者の『責務』−業績目標達成はもちろんのこと、部下育成、組織活性化、
残業管理、メンタルヘルス、コンプライアンス遵守…決められたことを決めら
れたようにPDCAを回していくマネジャーの役割は当然として、組織の置かれた
状況によっては、将来をどうするかを構想する“リーダー”の役割も求められ
る。

 そのすべてを完璧に担う必要はないにしても、やはりその職責の重さと、量・
質、そして納期の厳しさとプレッシャーにつぶされる管理者も多くいるのだろ
う。

 加えて、環境変化は目まぐるしく、速さ、変化の大きさもついていけないも
のに感じられることだろう。

 冒頭の企業では、管理職から外れた後は本人のプライドも考慮して、専門職
として処遇していくという。
 そこでの活躍を祈るばかりである。

             (2014/12/08 人材開発メールニュース第805号掲載)


Go to Back Number Index
Go to Top Page