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研修の現場から・2014年秋−建設・建築業界
 8月─9月にかけて、一日コースだが研修が急遽、四日間舞い込んできた。四
年前から全く異なるテーマで一日コースの研修を年一回だけいただいてきた会
社であるから私にとっては大幅な研修増である。

 この会社、建設会社、一部上場、規模的には中堅どころといってよい。研修
内容はズバリ!中堅社員層への、会社の方向性とのすりあわせとモチベーショ
ンアップである。

 ところで、建設・建築業界は「空前の売り手市場」、震災復興に五輪特需、
建設業の有効求人倍率は2.71倍、躯体工事業に至っては6.46倍とのことである。
それほどまでいかなくても、施工管理者レベルで、中堅層は垂涎の的、喉から
手が出るほど欲しい層。

 同社も若手・中堅層の技術者層が大手からの引き抜きにあい、今年だけでも
6人の施工管理者層が他社(推測では大手)に転身していき、草刈り場に化し
ているようである。

 そこで危機感を持った経営上層部が「ガス抜き」も兼ねて、研修の実施を思
い立ったという訳である。私は同研修の打ち合わせでも、小手先の研修では止
血にもならないこと、抜本的とはいわなくとも人事制度や賃金・待遇面での仕
組みからの改善が望ましいと先方に申し上げた。しかし、とにかく緊急避難で
構わないので研修を実施したいとのことでお引き受けした。

 8月の研修でいえば、人材流出への危機感は残ったメンバーに強く、その共
有から建設的な会社への要望、中堅として取り組まなければならない項目の再
確認など比較的前向きな雰囲気で進み、ホッとしている。

 要は、これまでこうした意見や想いを言い合う場すらなかったことが問題で
もあったのだ。
 それがわかっただけでも、もしかしたら成功だったのかもしれない。


             (2014/09/22 人材開発メールニュース第794号掲載)


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