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コミュニケーション能力の根幹
 採用や人材育成の現場で「コミュニケーション能力が大事だ」とよく言われ
ます。実際、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が毎年実施している
「新卒採用に関するアンケート」調査結果でも、採用選考時に重視する要素は
10年連続で「コミュニケーション能力」が第一位です。

 「コミュニケーション能力が大事だ」と言われると同時に「そもそもコミュ
ニケーション能力、コミュニケーション力って何?」という話題も頻繁に出て
きます。大雑把な感覚で行くと、他者とコミュケーションが円滑に取れる力、
またコミュニケーションはキャッチボールに例えることが多いので、「話す力」
「聞く(聴く)力」と言われます。

 解釈は様々ですが、様々な解釈があるため、コミュニケーション力が「ある、
ない、必要だ」という議論の一因になっています。実際、研修を企画する際に
も「コミュニケーション能力を向上させたい」と言う依頼をよく受けますが、
その都度言われる意味や背景は異なっています。その場面で使用されている意
味や背景をしっかり理解することが必要です。

 また前述の通り、大雑把な?捉え方であれば、他者とのコミュニケーション、
話す・聞く(聴く)ことが円滑にできる力と言えますが、もっと根幹的なこと
が必要です。話す・聞く以前のコミュニケーションとして、他者(相手)の存
在を認めることが挙げられます。

 話す、聞く(聴く)と言った具体的なアクションも勿論大切ですが、その前
提として、他者に興味を持つ、他者の存在を受容することが必要です。価値観
が云々という以前に、まずはそこにいることを認める、尊重することを起点に
することが必要です。
 根幹的な部分を疎かにした状態で、例えばタイプ別やシーン別のコミュケー
ションスキルなど、術を磨いてもあまり意味がありません。

 コミュニケーションをどう取るか以前に、目の前にいるヒトを認める、尊重
することをもっと大事にすることが必要ではないでしょうか。


             (2014/09/15 人材開発メールニュース第793号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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