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「はず管理」の危険性
 新入社員を迎えて二ヶ月半、皆さんの会社の新人たちは働きぶり、組織への
馴染み度はいかがなものだろうか。

 前回のコラムで、旅行会社の「社員テロ」的な話題を取りあげたが、その紙
一重の実例を一つ、取りあげてみたい。

 実際には何の事件にもなっていないようなので(報道がない)、笑い話的ネ
タと思って欲しい。

 五月中旬頃、JR東日本・中央線の某駅前で研修会場に行くためバスを待って
いた。そのバス停の前にメガバンクの支店と通用口。私の3メートル先くらい
が通用口になる。そこに現れたスーツ姿の男性、どうやら新入社員風、通用口
の横にあるフタを開け、暗証番号を入力している。しかし、入力番号が違うの
か、ドアは開かない。何度も入力作業が続くが、開かないのである。

 そこへ同期らしい、もう一人の若者。「どうした?開かないの?」と声をか
ける。「暗証番号354××○だよな」と先の男性、「違うよ。354×○□だよ」
と後の男性。結構、大きな声。私にはばっちりと聞こえた。早速、先の男性が
入力すると、ガチャと施錠が外れる音。「開いた、開いた。ありがとう」二人
は支店の中に消える。

 ところで、私は「354×○□」を聞くとはなしに聞いて、その場で暗記して
しまった。そして、私は難なくこの銀行の通用口を開けられる数字を手に入れ
たのである。ワハハ…。とはいかないが、バスを待っていたのは、私も含めて
10人前後、少なくとも前後2−3人は番号を覚えることが出来たと思うが、幸い
なことに、事件は何も起こっていない(と思う)。

 そんなこと「常識」「分かるだろう」は、通用しない。「はず管理」からバ
イトテロもJTB事件も起こった。

             (2014/06/23 人材開発メールニュース第782号掲載)


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