Back Number

就職指導の現場から・2014年春(2)
 前回に続いて、就活がらみの話で申し訳ない。今年も述べ200人くらいのエ
ントリーシートの添削指導をしてきた。メールで一部を送ってくる学生も多く、
基本プロフィールなどは除かれるので、すべての設問を見たわけではないが、
今年の傾向を感じたので、それを話そうと思う。

 「学生時代に打ち込んだこと」、これは相変わらず定番の設問だが、今年は
それに「その中での失敗や挫折したこと、それをどのように克服したか」とい
う質問が続くことが目についた(これまでも多かったのかもしれないが)。

 今年の新卒タイプではないが、「自動ブレーキ型」よろしく、そもそも失敗
しそうなことはしない(避ける)し、打ち込んだことには成功ばかりが書かれ
るので、多分に担当者もつまらないと感じたと思うし、どの程度のことを失敗
や挫折と感じるかを確かめ、ストレス耐性なども見極めたいのではないか。
 そして、その期待通りに、学生の失敗認識水準の低さと、人間関係だけで克
服していく過程は就職してからの前途を不安にさせる。

 もう一つは、打ち込んだことも含めて「充実感」を質問するものだ。これが
なかなか書けない。

 この設問は、ミハイ・チクセントミハイのいうフロー(楽しみ、自己充実)
体験を聞き出し、その学生の真の生きがいを明確にしようとする意図が感じら
れる。その反面、達成感や感激・感動、やっていて良かったの感想は書けても、
その学生が一心不乱に打ち込める自己実現と社会貢献の場を明確に書けた学生
は、残念ながら私の前にはいなかった。そして、それに答えられない(期待に
添えない)学生はことごとく落とされた。

 昨今、共通化された質問のエントリーシートが出回るなど省力化が見られる
が、その企業が本当に得たい人材を獲得するための工夫が見られると、そんな
企業に評価されて学生に入社して欲しいと思う。

             (2014/05/26 人材開発メールニュース第778号掲載)


Go to Back Number Index
Go to Top Page