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マッチングからフィッティングへ
 最近雇用が回復してきたという話を聞くことが増えました。実際、有効求人
倍率や完全失業率や就職内定率など雇用関連の統計を見ても確かに指標は改善
されています。特に都心部や一部業界では顕著で採用意欲がありながらも人が
いないという悲鳴が大きくなっています。

 その一方で、新卒や若年層における離職率については、改善したという話題
は少なく、相変わらず「折角採用したけど、辞めてしまった、続かなかった…」
という声を聞きます。感覚的には、雇用が回復する中で、さらにひどくなって
いるような印象です。

 最近、採用業務やキャリアカウンセリングに携わる仲間内で、「マッチング」
より「フィッティング」という感覚が必要だと言ってます。厳密な定義がある
わけではありませんが、マッチングは顕在化した情報の照合という意味合いが
強く、ミスマッチという言葉に代表されるように、顕在化している情報で、合
ってる合ってないを判断しているイメージです。

 一方フィッティングは、調整と意味があるように、情報をやり取りする中で
顕在的なニーズや意識だけでなく、潜在的なニーズや意識を明らかにしていく
イメージです。合っていないと思っていたもの中に合っているものを発見する
可能性もあります、また逆に、合っていると思っているものの中に合っていな
いものを発見する可能性もあります。いずれにしても、顕在化しているものを
もう一段深堀することで、それぞれのニーズや意識に合うものを探るようなイ
メージです。

 就職を支援する現場でも、求人側のニーズや求職者側のニーズをデータ化す
る作業やノウハウは急速に進んでいると言えます。情報量が増える中で、その
情報がどのような意味を持つのか、どのような価値を持つのか、情報の読み取
りは今後力を入れて取り組む必要がある領域だと言えます。

 キャリアコンサルティングやキャリアカウンセリングという現場においても、
顕在化したものを深堀して潜在的な価値や可能性を発見するような取り組みが
無ければ、社会に期待に応えきれなくなると言えます。雇用が回復しつつある
このタイミングは、キャリアコンサルティング・キャリアカウンセリングの機
能そのものも深堀するチャンスではないでしょうか。

             (2013/11/25 人材開発メールニュース第754号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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