Back Number

何のためのリーダーシップ?
 いつの時代でも人材開発の現場でリーダーシップの話題は、事欠きません。
特に最近では、中小企業でも慢性的に人材が不足しているせいか、現場の士気
を高めるリーダーシップが必要だ…そんな議論が聞こえてきます。

 育成テーマとしてリーダーシップに取り組みながら、苦戦されている現場で
は、目的がはっきりしていないケースが多いと言えます。「何のためのリーダ
シップが必要か?」「リーダシップを身に着けてどうなりたいか?」シンプル
ですが大事な問いかけであります。

 例えば一つの組織を運営するため?、単一事業を経営するため?、複数事業
を経営するため?、勿論共通のこともありますが、それぞれの場面で求められ
るリーダーシップは異なっています。「どこで発揮するためのリーダーシップ
なのか?」場面が想定されると少しテーマが見えてくることがあります。

 しかしその一方で、リーダシップに対する期待?では、どの場面でも通じる
普遍的なリーダーを育てたいといった要望が上がることがほとんどです。確か
に普遍的なリーダシップは魅力的なテーマだと言えますが、もし本当にそこを
追求していくのであれば、採用のところから資質的な部分も見極めながら、中
長期で取り組む必要があります。

 ただし実際は、投資に対するパーフォーマンスは、短期的に求められる場面
の方が多いのではないでしょうか。そうすると前述したようにどういった場面
でのリーダーシップが求められているかを明確にした方が取り組みやすくなり
ます。
 もっと突き詰めれば、リーダーシップというより役割遂行力が求められてい
るのかもしれません。特定の場面での役割遂行力を高めるということであれば、
学習するためのコンテンツも準備しやすくなります。しかし、包括的な感じで
リーダーシップを高めるという目標を設定すると、ゴールも曖昧になってしま
います。リーダーシップに関するコンセンサスが取れてなければ、多くの人が
関与すればするほど、何を持ってリーダシップが身に付いたと判断・測定する
のか…誤解が生まれやすくなります。

 本当にリーダーシップが必要か?今個々で議題に上がっているリーダーシッ
プの意味とは?そういった議論も必要だと言えます。

             (2013/10/14 人材開発メールニュース第748号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page