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事業や仕事を通じて実現したいもの
 「目的と手段を混合しないように…」様々な場面で、そういう話題が出ます。
採用の場面でも同様ですが、例えば、応募者が企業や組織体の目的に興味を持
っているのか、手段に興味を持っているのか、どこに興味を持っているのかを
理解すると採用が進めやすくなります。逆に言えば、目的と手段を混同すると
ミスマッチを引き起こす一因になることもあります。

 ここでいう目的は、その企業の理念・ミッション・ビジョンと言われるもの
です。また手段は、その時点で手がけている事業内容、製品、商品、サービス
といった業種・業態だったり、また事業を進めるための製造、制作、営業、販
売、サービス、管理など仕事内容・職種と言われるものになります。事業内容
や仕事内容は目的だと言われることもありますが、時代と共に事業内容を変え
たり、同じ仕事でも仕事の内容が変化していることを考えると、何かをなすた
めの手段であると言えます。

 しかし実際、就職を考える個人は、目的というよりも手段という視点から仕
事を探すことが多いと言えます。勿論それが悪いことではありませんが、ただ
就職を検討する際に手段、業種・業態、仕事内容・職種などへの希望が強けれ
ば強いほど、入社してすぐに希望に近い仕事ができなかったり、逆に最初は希
望に近かったが時間の経過とともに異なる仕事を変わっていくと、急に自分の
居場所を見失ったりすることもあるようです。

 一方、採用する企業側も同様で、理念・ミッション・ビジョンといった目的
「何のために」という情報が少ないままに、事業や仕事内容の説明ばかりして
いると、誤解を与えてしまう可能性もあります。特に、採用実績が少ない中堅・
中小企業では、目的部分で差別化を図らなければ、実績があるところにいつま
でも追いつけないのかもしれません。

 目的と手段は連動していることが多いので、捉え方によって、目的になるこ
ともあれば手段になることもあります。採用する側も就職する側も、迷った時
には、一段階段を上がるような感覚で、そもそもこの仕事の目的は…と考える
と様々なヒントがあると言えます。
 特に変化の激しい時代では、これまでも手段が目まぐるしく変わり、これか
らも変わることが予想されます。「事業や仕事を通じて実現したいもの」を意
識する、示すことが益々必要になると言えます。

             (2013/06/10 人材開発メールニュース第731号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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