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役割を超えた動きを引き出す
 最近、組織デザインや組織開発のテーマの一つとして役割を崩すという話題
が増えています。崩すと言うと少し誤解を受けるかもしれませんが、決められ
た役割に止まらず、臨機応変に役割を超えて組織目的・目標に向かわせるため
にどうすべきか、そういう話題が増えています。

 逆にそういう話題が多いのは、決められた役割に固執するメンバーの存在や
組織が硬直化している証だと言えます。「言われたことしかやならい、リスク
を冒さない、失敗を恐れる」次から次へとイメージできる言葉が出てきますが、
いずれにしても何かしら組織の中に不具合が発生していると考えられます。

 ただ冷静に考えると、言われたことしかやらない→言われたことをやる、リ
スクを冒さない→リスクを把握している、失敗を恐れる→ミスが無いように進
めている、とどれも大切なことだと言えます。「言われたことしかやならい、
リスクを冒さない、失敗を恐れる」ことは悪いことや避けるべきことではなく、
それも実施した上で、役割を超えるという発想が必要になります。
 よく言われることですが、分業から協業へ、分業・協業からコラボレーショ
ンへ転換が求められています。

 雇用形態の多様化、価値観の多様化、様々な思いを持った人が様々な働き方
で組織に参加することが今後益々増えていきます。従業員間の意識の違い、イ
メージの違いが益々増えてくると予想されます。そのような中、そもそも何か
をやるために役割を分担したはずですが、上手くコミュニケーションが機能し
ていないと、分担したことを上手く終わらせることが目的となり、その結果、
懸命に取り組んではいるものの、組織としてのパフォーマンスは低調だったり、
不具合が発生することもあります。単純なことですが、役割分担の見える化も
必要だと言えます。

 これからの人材開発担当者は、いかにして役割を越えた取組を起こすか、ま
たその前提として「どうすれば役割を超えた取組が起こりやすいか」を考える
ことが必要です。ハード・ソフト両面から職場環境を「役割」の視点から見な
おし、絶えず最適な仕掛け作りをすることで、役割を超えた動きを引き出すこ
とが求められます。

             (2013/03/25 人材開発メールニュース第721号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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