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読書考『学歴入門』
 『学歴入門』(橘木俊詔 著、河出書房新社)を読んだ。

 進学、就職、結婚−人生にまとわりつく「学歴」の正体がわかる…というふ
れこみで、学歴にまつわることを多面的に考察している興味深い内容であった。
詳しい内容は購読して確認してもらいたいが、改めて学歴を考える機会になっ
た。

 採用系の仕事をしていると、求める人材像を設定する際に学歴−大学生だけ
をとってみると、大学全入に近い昨今では、「大学卒」だけをもって学歴とは
言わず「ラベル=大学名」と「レベル=偏差値、難易度」を評価する企業も未
だ多いことがわかる。

 反面、三年ほど前に採用に関わった北陸地方の企業の社長から「○○県(こ
の地)に育って地元の国立大学を出た学生はもう採用しなくてもいい。黙って
いても応募してくるしレベルも物の見方もわかる。それ以上に、早慶とはいわ
ないが、M大、H大、日大(私の母校)など、勉強はできなくていいが、東京
に四年間居て地元以外を見てきた学生、地元で経験できないことを体験してき
た学生を採ってくれ」と言われ、“学習歴”=何を学んだか、何を得たか(勉
学面以外も含む)を重視している企業も多いことも確かだ。しかし、そのとき
は勉強できない日大生(=私です。後輩よ、君たちではない!)の自分の暗い
過去を思い出した。トホホ…

 また、同書では、「学歴は企業に入るまでは有効で、企業に入ってからは無
効」という記述があるが、確かにそうだと思う。学校名も含めて学歴は入社時
には基準になる。地方は更に大学名に加えて高校名が基準に上る。県内の進学
校、有名校は大学名以上に幅を利かすところも多い。

 前述の北陸企業の社長も、都内の私大出身者といいながら、しっかりと高校
名はチェックしており、結果的には県内上位の高校出身者をちゃっかり優先し
ていたと記憶している。まあ、そんなもの。

 ゆとり教育の弊害からか、学力低下を指摘される昨今の大学生は「学歴」も
重要だが、その学歴に見合った内容が求められるのだろう。

             (2013/03/04 人材開発メールニュース第718号掲載)


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