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入れるところだったから
 毎々の話題で恐縮だが、今期も大学生向けの模擬面接講座がほぼ終了した。
今年は3大学、延べ800人の面接数をこなした。ご存じの通り、就活は12月1日
解禁だが通常の授業もありなかなか平日に模擬面接の量がこなせない。結果、
土日に実施となるうえ、一月中旬から期末試験が始まるので、年始年末を中心
とした限られた期間に集中する。だから、担当するこちらが『短期決戦』を迫
られている気がしてならない。

 ところで、今年の学生の動きはどうか。当然ながら、学生間格差は広がり、
意識が高く積極的に活動している学生とのんびりなのか、やる気がないのか、
就職する気がないのか、鷹揚に?構えている学生との二極化は広がるばかりな
のはこれまでと同様だが、昨年と比して動きは“全体的に鈍い”という気がし
てならない。

 東海地区の何社かの企業担当者と話す機会を得たが、今年の東海地区の合同
セミナーの集客は少なく感じるそうだ。
 また、積極的にアプローチしてくる学生も多いことは多い一方で、様子見、
遠巻きの学生が大半で、手応えがあまりないという。会社説明会のエントリー
も、殺到という感じがなく、何か淡々と、あるいは平板に時間が流れていると
いう感想であった。

 原因は何か。一部の現象で判断はできないが、私の目の前の学生を見ている
と、「スピードについていけない」「頭(研究や自己PRなどの準備作業)が追
いつかない」ことが行動を鈍らせている感じがする。加えて、就活の初期は大
企業への応募が中心だが、端から『大手は諦めている』ので就活もゆっくり…
的な雰囲気が漂う。

 “身の丈就職”を目指し、大手企業の高いハードルに挑戦心すら萎えてしま
うのかもしれない。
 無理をしない、省力的といえばそれまでだが、高い目標を目指して準備や努
力もしないで、「下なら」「中小企業なら」では、そこさえも困難なことがわ
からない。

 なぜなら、大学受験がそうだったから、なのだろう。
 大学受験も「入れるところ」だったから、企業も…。
 そして、新たな壁が立ちふさがる。

             (2013/02/04 人材開発メールニュース第714号掲載)


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