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中退者が増え続ける中で
 昨年10月から講演活動が多くなってきた。それも地方、この寒い中(冬だか
ら当たり前だが)、新潟−郡山−仙台−大阪−大津−札幌−金沢…と飛び飛び
の日程だが、ぶるぶる震えながら会場に行き、そそくさと話をしては、ぶるぶ
る震えながら帰宅の途につく日々である。

 三年前に某教材開発会社から依頼されて企画開発・執筆した主に専門学校生
向けの一連の教育プログラム(3冊セット)のテキストが、2万セット突破を記
念しての講演会である。改めて開発思想や裏付けとなる理論などを説明、更な
る購買を募る旅でもあり、この後3月まで、神戸−横浜と続く(沖縄も候補に
上がったが諸般の事情で中止、残念無念である。トホホ…)。

 ところで、講演のテーマの一部に大学等の退学者の多さが出てくるのだが、
国公・私立大学、専門学校の中退者は、NPО法人ニューベリー発表の『中退白
書2010』によれば、約11万9000人(09年)、中退率は3.3%、また、読売新聞
「大学の実力2012」597校調査では平均退学率は8%とのことで、由々しき事態
でもある。一説によれば遺失授業料は550億円にもなるという。

 退学理由では、経済上の問題も大きいが、それ以上に目標喪失や学業につい
ていけない(逆にレベルが低すぎる)などが上がる。

 初年度退学率2.6%は、国立0.7%、公立0.8%、私立3.2%で、5%超えるの
はすべて私立(86校)、偏差値下位校・地方に退学が多いとのこと。そもそも
入試が成立しない中(フリーランク)、安直な入学が安直な退学を招いている
ことも一つの要因であろう。

 この国に「大学」と名のつく教育機関が800超、落選してしまったが田中真
紀子文部大臣(当時)の問題提起(やり方やタイミングの問題はあるが)自体
は決して間違っていないと思う。

 本当に大学といえる価値があるものなのか、資格取得など専門学校化してい
る学校も多い。名ばかり大学ではないのか。もしかしたら、退学理由の根底に
はこうした疑問が流れているかもしれない。

             (2013/01/21 人材開発メールニュース第712号掲載)


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