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不安を取り除くと同時に希望を与える
 今年最後のワンポイント・アドバイスです。
 皆さんにとって、どんな一年だったでしょうか?

 今年は最後に政権交代となりましたが、何となくすっきりしない感じの一年
だったような印象です。問題は噴出するものの解決に向けての歩みは遅く、言
い古された感じですが、先行きが見えず、不安感が漂うような場面が多かった
のではないでしょうか。

 そのような中で、自身の仕事の領域においても、短期的なテーマ追求型の人
材開発が多かったと言えます。
 短期的なテーマ追求型とは、具体的なテーマに絞り込んで実施するもので、
例えば、「○○商品を拡販するため、○○市場に進出するための人材育成・組
織改革・採用」など、短期的な事業計画を実現することを目標とした人材開発
に携わる機会を数多くいただきました。

 たくさんの機会をいただき大変有難いことですが、反面全体的な印象では、
不安を感じることもあります。それは、短期的なテーマが優先されている点で
す。優先と言うよりも、それしかやらない、できないという企業(組織)もあ
ります。さらに怖いのは、全員が短期的なテーマしか意見を持たないようなケ
ースです。

 確かに○○商品を今年、来年ぐらいまで、もう少し拡販するための方法は、
たくさん考えられます。しかし三年後その商品を求める市場が伸びているかと
言えば???といったケースも増えています。
 まず目の前の課題からということで、短期的なテーマが優先されるのも理解
できます。暗闇の中で足元を見て転ばないように進むことも大切ですが、足元
ばかりに気をとられていると行き先を見失う…そんなことがあるのかもしれま
せん。

 先行きが不透明な時代においては、現場の最前線でチャンスやピンチを察知
しながら自立・自律的に動くことが求められます。「ヒトを動かす」ではなく
「ヒトが動く」には、不安を取り除き、希望を与えることが必要です。人材開
発に限ったことではありませんが、不安を取り除くことばかりに時間を割かれ、
希望を与える取り組みができていないのかもしれません(それ以前に不安を全
く取り除かない企業・組織もありますが…)。

 個々の自立・自律的な歩みを引き出すためにも、不安を取り除くことと希望
を与えることの両面が必要だと言えます。不安を取り除くと同時に希望を与え
ることに貢献できるような人材開発が今後益々必要ではないでしょうか。

             (2012/12/24 人材開発メールニュース第709号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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