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ルール・規程が増え続ける中で
 先般ある企業の総務担当の方から社内規程に関して面白い?話を伺いました。
ここ5年で社内規定の数が3倍以上に増え、規程の内容をA4のページ数で数える
と何と600倍以上になっていたそうです。さらに社員の方々がどの程度その内
容に目を通したことがあるかを調べていくと、悲しい結果が明らかになったよ
うでした。

 組織や社会において、何らかの問題や不具合が増え始めると、それをコント
ロールする動きが強化されます。一般的には、新たなルールや規則・規程など
が策定され、動きを制限することで安定や秩序を保とうとすることが多いと言
えます。
 変化が激しい時代には、今まで想定されなかった新たな問題が出てきます。
次から次に新たなビジネスが生まれれば、同じようなペースでルールや規程が
生まれているのではないでしょうか。

 ルールが整備されることで確かに安定や秩序が保たれ易くなると言えますが、
反面ルールや規程が増えるほど、動きが制限されることになることも見過ごせ
なくなっています。

 冒頭の総務担当の方の話が示している通り、規程が機能していない・形骸化
しているにも関わらず、新たなルールや規程を策定しなければいけない…そん
な状態の組織も多いようです。標準化やマニュアル化を進める中で、その傾向
は益々拍車がかかっているようです。

 ルールや規程を整備することは勿論必要なことですが、今後は戦略的な取り
組みが必要だと言えます。雇用形態が多様化することも管理する上では、複雑
さをもたらしていることは言うまでもありません。ルールや規程が単に増え続
けると、やはり身動きが取り難くなり、意思決定が少しずつ遅れることもあり
ます。意思決定が少し遅れたことにより発生する微妙なズレが、今ビジネスの
最前線で大きな差になっているのではないでしょうか。

 ルールや規程として文書化するもの、文書化とは別に教育や職場作りを通し
て社内に浸透させていくもの、両輪を戦略的に検討していくことが必要です。
ルールや規程においても、時には思い切ったスクラップ・アンド・ビルドを実
施しながら、社内の意思決定システムを絶えず時代に沿ったものにしていくこ
とが必要だと言えます。


             (2012/11/12 人材開発メールニュース第703号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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