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研修講師として一番難しいこと?
 先日、ここ数年研修講師を担当され始めた方から「研修講師として一番難し
いことは何ですか?」という質問を受けることがありました(私が答えるには、
あまりにも高尚な質問ですが…)。

 研修も様々な目的で実施され、講師の価値観も多様化していると思いますが、
個人的には、一番難しいことは、受講者の方に「どれだけ真剣に考えていただ
くか」だと考えています。

 研修の捉え方も様々ですが、研修は「学びの場」と捉えると、いかに学んで
もらうか、いかに考えてもらうかが必要です。研修に参加することで新しい知
恵・智恵・価値を創造するためには、その場で真剣に考えていただく、もっと
言えば、研修で学んだことを現場に持ち帰って、さらに真剣に考えて、具現化
することが求められます。

 そのためには、真剣に考えるきっかけを作る「問いの投げかけ」が必要にな
ります。その場、その集団に合った“問い”であれば、自発的な学びが加速さ
れます。しかし、問いが悪いと、当然ですが思考が停止したり、参加意欲が減
速していくことはよくあることです。

 講師を担当するとどうしても教えるという発想・視点に偏ってしまい、何を
話すか、何を伝えるかばかりを考えてしまいます。勿論、研修の題材(コンテ
ンツ)や話し方を高めていくことも大切なことです。しかし、教える手段は、
どこまでヒトの手に頼るかも含め、今後益々多様化していくと考えられます。

 しかし、個人や集団の活性化を促すきっかけ、考えることを起動させるため
の「問いを投げかける」という事は、まだまだヒトの手に依るところが大きい
と言えます。その“場”に適した“問い”を投げかけることは永遠の課題であ
り、今後の研修講師の大きな存在価値になってくるのではないでしょうか。


             (2012/10/29 人材開発メールニュース第701号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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