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平成24年度学校基本調査(速報)を読んで
 文部科学省が8月に発表した学校基本調査速報によると、今年3月に大学を卒
業した人は昨年比1.2%増の55万9千人、このうち36万7千人が就職したという。
就職率は63.9%、2.3ポイント増と改善に転じた。

 一方で、就職も進学もしない人は約8万6千人、その中で約3万3千人(男性約
1万8千人、女性約1万5千人)が就職や進学準備をしていない(もちろん、家事
手伝い、ボランティア活動従事など統計に表れない人も含まれる)という。

 更に、この調査で気になることがある。2012年大学卒業者の進路の内訳は、
正社員・自営業など定職に就いた人が60%、進学も就職もしない人が15.5%、
進学13.8%などになるが、契約・派遣社員3.9%約2万2千人、一時的なアルバ
イト3.5%約2万人など就業環境・形態が不安定な非正規雇用者も5%近くいる。
こうなると新卒者の4人に1人、約12万人が安定した仕事に就いていないことに
なり、この人たちも将来の様々な予備軍−、同世代の収入格差、晩婚・未婚化、
生活保護受給者など−になる可能性がある。

 大卒者の25%が定職に就けない(就かない)国−世界的に若年層の雇用が厳
しくなっているが、経済力の低下と時を同じにして日本という国の将来を憂え
るばかりである。

 ちなみに、私の教え子にも、この4月に就職できずそのときは留学する、専
門学校に進学するなど様々な計画を話していたが、結局、専門学校に入学した
ものの、2ヶ月で退学、現在は何もしていない(不定期のアルバイト程度)。
メールで月に1−2回やりとりしているが、やきもきしているのは私と就職課の
職員くらいで、本人は至ってお気楽、のんびりしたものである。親御さんの焦
りと不安は如何ばかりか…。

 大学卒業者の25%が安定した職に就けない現実、本人も国も大学(教育)も
企業も、そして親も…すべての問題であろう。


             (2012/10/01 人材開発メールニュース第697号掲載)


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