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地域行事の現場から・2012年夏
 長く特定の地域に土着していると、さまざまなしがらみもあって、地域行事
の関係者にはめ込まれることになってしまった。市と地域が共同で開催する規
模の比較的大きな夏祭りの実行委員会に組み込まれ、その運営に携わることに
なるわけだが、市=役人とはこういう仕事をするのだなあと思うことが多々あ
り、手伝いの煩わしさとは別に新鮮な発見があった。

 まず、第一回運営委員会が開かれてスケジュールや運営組織の体制、役割分
担、内容の説明の資料が配布されるのだが、結構、辻褄の合わない内容や唐突
感のある記述満載で、当然参加者から質問が出てくる。どうやら、数年前の祭
りに使った記述がそのまま残って訂正や削除されていないようなのだが、あり
ありの在版データを確かめもせず出してきて結構、役人の仕事も杜撰、お座な
り、いい加減だと思う。

 だから、打ち合わせの際は資料を見ながら一つ一つ確認する。そうすると、
資料と違う返答がかえってきて、ますます混乱する。そもそもこの資料は何?
という感じなのだ。

 また、実行委員会の委員長は元地方議員の電気工事会社社長なのだが、昨年
はこの会社がこのお祭りの照明等の電気工事を担当している会社だと思い出し
た。発注側と受注側が同じというのも、政令指定都市になったとはいえ、神奈
川の田舎市の馴れ合い、もたれあい構造かと感じる。祭りの資料を見ても、大
凡の予算は書かれているが、発注先はどこにも書いていない。それに触れない
のが大人の対応?

 私は、市の担当者に二回お願い事をして(地域で模擬店を出すのでその申込
書をもらってきてくれという用件)、二度とも忘れられた。普通、お願い事を
されたらメモをとるのだが、この市職員はメモをとらない。大丈夫かと思った
が案の定、忘れられた。緻密で能吏というのが私の役人評だったが、見事に崩
された。それから何かお願いした後には必ずファクスで確認事項を送るように
した。そのことを少しでも屈辱に思わないのかとおもったら、同じ職員に模擬
店の参加料2500円を払いに行くと領収書をくれない。「市の担当部署に申込書
を持参しろ」と書いてあるのに、その体制が取られていない。名刺で仮領収書
を出す発想もない。平気でお金を受け取り、領収書も出さない、こんな役人と
してリスキーなことをやってもリスキーと感じないのも、役人ならではの感覚
なのだろう。一般常識はどうやら通用しないらしい。

 それでも、地域の多くの人の献身的な対応で祭りは前に進んでいく。
 役人にもいろいろあるのだろうが、すごい実力を発揮されないでホッとした
夏でもある。 


             (2012/08/20 人材開発メールニュース第691号掲載)


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