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経営のグローバル化とグローバル人材
 最近、人材開発のキーワードとして圧倒的に多いのは「グローバル人材」と
いう言葉ではないでしょうか。グローバルに?事業を展開するためには、その
ための人材が欠かせないのは言うまでもありません。
 実際、国内市場が伸び悩む中で、海外へ展開していこうとする動きは、地方
でもかなり活発になっています。

 しかしグローバルという言葉の捉え方も様々です。これまでは、海外要員と
しての専門家=海外スペシャリストを求める傾向が強かったと言えます。しか
し現在言われている「グローバル人材」は、海外要員的な面もありますが、実
際は、国境といった枠に囚われずビジネスを推進できるプロ(プロフェッショ
ナル)を求めていると言えます。必要なのは、国境に囚われずにビジネスを展
開していく資質・能力であり、外国人や海外のスペシャリストでは無いと言え
ます。外国人採用を否定しているわけではありませんが、グローバル人材と海
外人材採用が混同されているケースも多いようです。
 グローバル化に対応するために、外国人採用を始めたと聞くと、少し目的が
ずれているような気がします。また、上手く行かない企業ほど、目的と手段が
混同されているように思われます。

 特にこれからグローバル化に力を入れようとする中堅・中小企業では、どの
程度事業をグローバルに展開するかをイメージすることは重要です。グローバ
ル化と海外への分散化はかなり意味合いが異なります。大企業と比較して資源
が乏しい中堅・中小企業においては、やみくもに人材投資をすると、成長スピ
ードが落ちるだけでなく、今現在の強みを手放す可能性もあります。効果的な
投資にするためにも、事業戦略と連動した上で、どういう人材を調達するかを
検討すべきです。

 新卒採用の現場で、日本の学生よりも留学生の方が優秀だという声を良く聞
きます。そういう時代だからこそ、本当は、国内人材のグローバル化を進める
べきだと言えます。企業内に限らず、大学を始め学校教育も含めたグローバル
人材の育成が必要なのではないでしょうか。


             (2012/05/14 人材開発メールニュース第678号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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