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模擬面接の現場から−2012年冬
 12月から毎年恒例の大学生・短大生向けの模擬面接を続けている。今年は、
2月末までに延べ800人との模擬面接の戦いが予定されている。3月に1-2校引き
合いが来ているので、延べ1,000人は超えることは確実だと思う。

 今年の就職戦線は、ご存じの通り企業の広報や学生との接触が12月1日解禁、
これまで以上にリードタイムの短い戦いに突入している。12月は大都市圏では
イベント型の合同セミナーは土日祝日にビッシリ予定されており、合間を縫っ
て学校主催の学内ガイダンス、年が明ければ企業毎の説明会が連続して開かれ
る。

 スマホとPCを駆使して説明会の予約に邁進し、同時並行でエントリーシート
記入に頭を悩ませる。そして、すき間時間を利用して適性検査対策をしながら
のWebテスト受検…。本気で取り組んでいる学生は目が回るほど忙しいようだ。

 一方で、相変わらず、のんびりしている学生も数多くいて友だちが参加する
から、就職課に勧められたから的に脳天気に模擬面接に参加してきて、一部上
場の大企業を志望しますと話すわりには中身がなく、面接官に突っ込まれて立
ち往生する。

 本当にお気楽に企業にエントリーして跳ね返され、立ち尽くす学生も多い。
こうして、更なる学生格差、学生の二極分化が拡大していくことを気がつかな
い。丁寧にアドバイスをして「見直します」と言いながら翌日に二回目の模擬
面接をすれば、何も変わっていない。その場しのぎで取り繕っても、結局自分
で変えようと思わなければ行動にはつながらない。練習でできないことは、や
はり本番ではできないのだ。その練習さえ疎かにしてしまう。

 それでも模擬面接に出てきて、一つでも気づき、学びがあれば、その学生に
は良かったと思う。実際には一学年500人の大学で、就職課も頼らずに大手企
業の内定や希望進路をゲットする学生が1-2割はいる。合宿に参加してくる学
生も1-2割、恐いのは、何もしていない残り5-6割の学生だ。そんなことを考え
ながら、模擬面接の夜は更けていく。


             (2012/01/23 人材開発メールニュース第663号掲載)


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