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2012年−献春
 『献春』

 昨年末、生まれて初めてかもしれないほど、年賀状に使う詞書に悩んだこと
はない。吉例の「明けまして…」や迎春、寿春、芳春、賀春、恭賀…といった
言葉を探すもののどれも今一しっくりこない、イヤ、書いてはいけないような
気がして前に進まない、初めての迷いであった。

 理由はお察しの通り、東日本大震災の影響である。
 被災地の方々はもちろん、どこに関係者がいらっしゃるかわからない。知ら
ないことととはいえ、失礼があってはいけない。そう思うと、慎重になってし
まう。

 そして選んだのか『献春』−「春の初め」という意味らしいが、初対面の言
葉である。初春の歴でもあり、ふさわしい言葉でもあるが、多くの人に「春を
献じたい」と気持ちで感情を交えず真摯に示すには妥当な言葉だと思った(意
味や使い方を間違えていると思うが、ここはご容赦願いたい)。

 あの震災からもうすぐ一年、放射能漏れの被害も重なり多くの人には春が感
じられないかもしれないし、一年の回りは辛い記憶を呼び戻してしまうかもし
れない。

 一方で、新天地、新世界で前を向いて新たな一歩を踏み出す春でもある。そ
の双方に祈りを込めて「春を献じたい」「春を捧げたい」のだ。

 今年も相変わらずのチマチマとした話題で展開していくと思いますが、「人
材開発☆情報BOX」ともども、当コラムをご愛顧賜りますようお願い申し上
げます。

 すべての読者の皆様に『献春』。


             (2012/01/10 人材開発メールニュース第661号掲載)


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