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組織をつくるコミュニケーションの温度
 今年最後のワンポイント・アドバイスです。
 皆さんにとって、どんな一年だったでしょうか?

 今年は、人材開発よりも組織開発に関する課題に取り組む機会が増えました。
言葉の定義は様々ですが、個よりも集団(組織)に関するテーマが多かった感
じです。

 例えば、一人一人は良い意見を持っているのに集団になると意見が出なくな
る。一人一人はルールを守ることを理解しているが、誰か一人がルールを守ら
ないといつの間にか多くのメンバーがルールを守っていない。集団(組織)に
なると、個々の意見とは異なった意思決定をしたり、逆に意思決定をできなく
なる・制限されることは良く聞く話です。

 上記のようなことは、以前からある話で珍しいことではありません。しかし、
個々の意思と集団(組織)の意思の乖離が激しくなるのは、それぞれの存在に
対する不安が大きくなると増長されます。昨今、乖離が激しくなったという声
をたくさん聞きますが、恐らく震災などの影響もあり、環境が目まぐるしく変
化する中で、拠り所を失っていることも要因の一つだと言えます。勿論、乖離
があるのは当然ですが、人間関係同様、許容できる範囲を超えると一気に関係
が悪化します。

 こういう話をすると悪いイメージが先行しますが、全く逆のことも言えます。
一人が意見を出せば他の人もドンドン意見を出すようになる。一人がルールを
意識し始めると他の人も意識するようになる、また新たなルールが生み出され
ることもあります。要は、悪い流れを作るか、良い流れを作るか、いずれも組
織のメンバー・当事者次第です。

 良い流れを生み出すためには、基本的ですがコミュニケーションが重要です。
IT、ICTによる技術革新が進む中で、コミュニケーションを促進する様々なツ
ールが次から次へと出てきます。便利なツールを活用することも必要ですが、
今後組織作りという点においては、コミュニケーションの質・量だけではなく、
温度といった感覚的なものも必要になってくるように思われます。

 不安感を拭い去ってくれるような、体感温度の高いコミュニケーション、外
圧ではなく内発的なコミットメントによるコミュニケーションを作ることが必
要です。
 本来、一人(個)の持つ限界を超えることが集団(組織)のメリットです。
いつも数多くのメリットを享受しているわけですが、当たり前になりすぎて気
付いていないことがあるのかもしれません。既にある貴重な繋がりをもう一度
確認し、もう少し温かみを感じるコミュニケーションづくりを実現していきた
いですね。

 今年一年お付き合いいただきありがとうございました。今後ともご愛顧の程、
よろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。


             (2011/12/26 人材開発メールニュース第660号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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