Back Number

ノウハウ・資源の適用範囲・活用範囲を拡げよう
 今年から「倫理憲章」が変更され“短期決戦”と叫ばれる新卒採用がスター
トしました。新卒採用もそうですが、震災以降、被災地での雇用確保も大きな
課題となっています。

 我が国の労働政策においては、その時代のニーズに合わせて“雇用の安定化
を図る”ために様々な施策が実施されてきました。その多くは、大企業と中小
企業を分けて実施してきたものが多かった言えます。例えば、企業規模に応じ
て、認可される条件が異なったり、助成される率や額が異なったり、中小企業
の活性化や産業振興と観点から中小企業に厚く、大企業に薄くと言う方法が多
かったと言えます。

 中小企業を優遇した施策が悪いと言うわけではありませんが、グローバルに
環境変化が進む中で、多様かつ急速な変化に適応していくためには、従来のや
り方を見直す必要もあると言えます。特に国や地域レベルで雇用の安定化を図
るためには、従来とは全く逆で大企業に対する助成を重点的に厚くする方法も
あっていいと思われます。大企業が雇用しやすい、人材を育成しやすい仕組み
をつくり、労働市場を流動化させ、大企業で採用・育成された人材が中小企業
へ流れていくような仕組みも必要ではないでしょうか。
 勿論、大きく舵を切ることで、新たな問題も発生します。例えば、労働市場
が流動化すれば、人材を使い捨てるような風潮が出てくるかもしれません。し
かし一方で、人口減少化が進む社会においては、これまでの枠組みを外して考
えなければ、間に合わないことも出てくるのではないでしょうか。
 目指すべき方向も見え難い時代においては、既存の枠組みを取り払って、意
見や考えを真摯にぶつけていく“場”が必要です。反対があるから取り下げる、
先送りにするだけでは、何も進展しません。

 採用・育成・人材開発・組織開発に関するノウハウ・資源は、大企業と中小
企業では二極分化が進んでいるように見受けられます。ノウハウ・資源が十分
に活用されているかどうかは区々ですが、企業規模が大きいところには、ノウ
ハウ・資源が保有・蓄積されている可能性が高いと言えます。
 貴重なノウハウ・資源をどのように有効活用すれば、自社、さらには自社を
取り巻くステークホルダー・市場に対して、良い影響力を行使できるか?ノウ
ハウ・資源の適用範囲・活用範囲を拡げていくような発想・アクションが必要
になるのではないでしょうか。


             (2011/12/12 人材開発メールニュース第658号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page