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飛び込み営業のやり方を教えてほしい?
 「飛び込み営業のやり方を教えてほしい」〜いきなり30代前半くらいの若い
人事部長と営業部長から切り出されて戸惑いが走る。某IT系の企業で、会社
設立から6年と会社も若い。お台場に近い高層ビルから見る海は光輝く。

 以前、研修を担当した企業の人事マンが総務課長で転職し、その縁で訪問し
ての打ち合わせである。独自のシステムとモバイル化の波に乗って、業績は右
肩上がりで成長してきた同社も少々の頭打ち、踊り場を迎えた。

 これまでの営業といえば、ネットで企業を調べてメールの打ち込み、そして
訪問。それなりに競争力のある商品・サービスでとんとん拍子に話は進む。新
しい顧客が増えることもあり、一度、流れに乗った取引はフォローもほとんど
しない。契約打ち切りのメールが来ても、「そうですか。ではまた」的にさよ
なら、訪問してのつなぎ止めもしない。営業の離職率が高く、取引の経緯もわ
からないまま、引き継ぎも数字と顧客名だけ、新担当者に思い入れはほとんど
ない。営業はメールでの飛び込みはするが、足を運んでの開拓は消極的、尻込
みはするし、辞めると言い出す輩もいる。そして、やらない。

 驚いたことに営業部長はルート営業出身で、飛び込みの経験はない。話を聞
いていて、新規開拓営業よりやるべきことがあるように感じたが、若いオーナ
ーは「飛び込みさせろ」の一言らしい。しかし、社内にそのことを教えられる
(?教えることか…)人がいない。

 全3回のシリーズものとして、第1回目を11月に実施した。営業マンは男女合
わせて12人、皆、一様に若い、20代ばかり。いきなり研修でもないので、初回
は飛び込み営業のイメージを聞くことと、飛び込み営業の醍醐味をお話しする
3時間にした。
 まずイメージは、「つらい」「重い鞄をもってコツコツ」「門前払い」「担
当者に会えない」「非効率」「古いスタイル」「古典的営業」「売れない商品
を売り込む押し売り」といった反応がかえってきて、私は飛び込み営業大好き
な営業だったから、間違いではないが釈然としない気分に襲われる。

 私からは、「思いがけない出会い」「蟻の一穴から億単位の商売に」「千、
三つ」「新しい駅で降りて、新しい町を歩いて、新しいビルを覚える機会」
「鞄の中の資料が減って帰社したときの喜び」「次回訪問のための材料作り・
探しの楽しみ(うれしい苦悩)」といった前向きな話をしたが、伝わったかど
うか。1月からは営業スキル基礎編を展開する。先が思いやられる。


             (2011/12/05 人材開発メールニュース第657号掲載)


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