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キャリアカウンセリングの現場から…2011年夏
 縁があって、6月から横浜にある大手専門学校にキャリアカウンセラーとし
て不定期だが通い始めた。基本は得意分野でもある就活指導、応募や面接にあ
たっての自己PR・志望動機作りや模擬面接指導だが、学校で学んでいる専門以
外の職種に就く際の進路変更へのアドバイスや就活・就職そのものへの悩みや
不安の聞き役になるといったことを柄にもなくやっている。

 まだ、そんなに多くの学生と接している訳ではないが、意外に多いと思った
のが、「大学卒→専門学校(→就職)」である。大学中退でなく、大卒である
のがミソであり特徴だ。

 もちろん、中には「大卒→就職→退社→専門学校入学(→就職)」という経
緯をたどっている学生もいる。「大学卒→専門学校」の経過をたどる学生は、
就職が厳しく就職できず緊急避難もあっての専門学校かと当初は思っていたの
だが、実はそういう学生は少なく、例えば、つい最近面談した女子学生は、ま
ずまずの理工系大学の情報工学を専攻していながら、「私が目指したいIT系の
勉強とは違う」と思い直して専門学校に来たという。
 通常、考えるに専門学校より大学の方がより高度、よりアカデミックな学び
ができるはずであり、また、大学の勉強についていけないということでもなく
(実際に、その学生はA4で300枚の卒論を書いて卒業した)、「私が目指した
いIT系の勉強とは違う」と思いながら4年間を過ごした訳で、それが私には信
じられない。
 途中で気がついたのなら、さっさと中退して専門学校に入り直せばと思うが、
それは考えなかったようだ。また、“大学卒”そのものにも、こだわりはない
と言う。話を聞きながら、この学生の親が可哀想(もっとも、それだけの財力、
収入があるのだろうし、いらぬ心配だが)だとも思ってしまう。

 そして、このパターンがこの学生だけだと思いきや、その後、ほぼ同じパタ
ーンが3人いた。大勢とはいわないまでも、珍しくもない部類か。ただ、そう
した学生が4人目の前に現れたということは、裏を返すとそうしたパターンの
学生が就活に苦戦しているともいえるのだ。

 19−20歳の本来の専門学校生は比較的早く内定を獲得していたり、学校推薦
も貰いやすく就活も順調に進んでいるが、23−24歳の大卒専門学校生が苦んで
いる。逆のような気もするが、年齢や変なこだわり、プライドみたいなものが
災いしてか、うまく進まない。面談していても、頭固いな、柔軟性、素直さが
ないなと感じる学生が多い。

 ここにも、何か歪みというか、日本の教育全般の縮図を感じてしまう。


             (2011/07/18 人材開発メールニュース第638号掲載)


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