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正解を導く力よりも修正できる力
 震災以降まだ混沌とした日々が続いています。本来であれば、新卒採用に忙
しくなる時期ですが、採用スケジュールは大きく遅れています。採用そのもの
や採用人数は変更しない方針が多いようですが、今後の経済動向によっては、
楽観出来ない部分もあるように思われます。

 採用スケジュールが見えないこともあり、学生の方から「どうすればいいで
すか?」と質問されることも増えています。基本的に企業(採用)側の仕事を
主としているため、就職支援を細かくやっているわけではありませんが、震災
の影響と言うことに限らず、就職活動において、こうすれば間違いないという
ノウハウ的なものは存在しないと考えています。話が飛んでしまいますが、も
しそういったノウハウが存在するのであれば、震災以降続いている様々な問題
も既に解決しているはずです。

 正解はない、もっと言えば、妥当解はあるのかもしれませんが、その妥当解
も絶えず変化する…昨日までは良かったが、今日から、明日からは違う…そう
いう時代だと言えます。就職活動の場面でも、仮に希望した企業に就職したと
しても、そこで希望した仕事や環境が用意されているかどうかはわかりません。
また競争が厳しい時代においては、就職先が合併・倒産することもあるかもし
れません。

 少し厳しい言い方かもしれませんが、就職先を決めることは、あくまでもそ
の時点でのbest、betterな選択であり、その後も絶えず「ここでいいのか?」
と選択し続けなければならないと言えます。一度決めたら終わりではなく、そ
の後も絶えず選択(そのまま続けることも含め)=意志決定しなけばならない
と言えます。

 継続的な選択を行うためには、正解を導き出す能力よりも、修正する能力が
求められます。イメージと違う方向に進んでいる、何となく状況がおかしい、
そういう場面を瞬時に捉え、修正していく能力が必要だと言えます。少しひね
くれた表現をすると、就職活動を希望通りに進める(成功する)ためのノウハ
ウよりも、希望通り進まなかった(失敗を活かす)時のノウハウが必要です。

 予測が付かない、付き難いということは、楽観的に考えれば、いつでも修正
できるということではないでしょうか。ただ誤解して欲しくないのは、「修正
する」と「リセットする」は異なります。キャリアにおいては、ゼロに戻すリ
セットボタンはありません。あくまでも経験(良い経験も悪い経験も)を積み
重ねる形で、毎年・毎月・毎週・毎日、いつでも修正する、方向性を変えるこ
とはできます。自分自身のキャリアを計画的に意識することで、逞しく生きる、
そういう人材を増したいですね。


             (2011/04/11 人材開発メールニュース第625号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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