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新青森駅開業
 年間10日間ほど青森に通って10年になる。
 東北新幹線の新青森までの延伸開業まで仕事があるかなぁと思っていたら、
開通まで仕事が続いてしまった(「続いてしまった」ではなく、続いたことに
感謝)。

 紆余曲折を経て東北新幹線開通まで苦節38年、地元待望の開業であり乗り換
えは必要だが、新青森から九州新幹線鹿児島中央駅まで新幹線がつながったの
であり、日本列島を新幹線で横断できる時代の到来であり、新・新幹線時代の
幕開けだ(この表現は正しいのだろうか)。

 早速、乗ろうかと思ったのだが、東京−新青森最速3時間20分、私の家の最
寄り駅から東京駅まで約1時間20分、約5時間は流石に腰が引ける。同じく羽田
まで1時間20分、羽田−青森空港約1時間、半分の時間で目的地に着く魅力には
勝てない。しかし、たまたま仙台で仕事があり、その流れで青森に入ることに
なった。盛岡で大半の乗客が降りてしまい、平日、最終の一本前の新幹線、新
青森駅では車両には私を含めて3人(地元で聞くと平日の乗車率は平均25%と
いう)、ドアが開いた途端、締め付けるような外気の温度以上に厳しく冷たい
風が我が身を襲う。「うわ、さぶ〜」ついそんな言葉が出て身を縮める。

 聞いてはいたが、駅は真新しくきれい。すばらしい。もちろん、目をこらし
ても泉谷しげるも、吉幾三も、主役だが地味な三浦某はどこにもいない(いる
わけないか)。そして駅の回りは何もない。真っ暗な闇の中で、レンタカーの
看板とコンビニ一軒の明かりだけが目立つ。その先に車の往来が激しい国道7
号バイパスが見える。実は、前々から新青森駅が青森駅(青森市内中心地)か
ら離れている(タクシーで15分・1700円程度、1500円パック(行き先限定)も
あり、シャトルバス、在来での電車でも可能)と聞いていたので、タクシーで
移動する。以前、八戸に行った際に、新幹線駅と八戸の中心地との距離がある
ことを知らず、市内にホテルをとってタクシーで2000円ほど払った苦い経験が
ある。

 しかし、何でJRもしくは地元自治体はこんなところに駅を作るのだろうか。
不便きわまりなく、観光客に不親切だと思う。今後、新幹線が函館まで延伸さ
れると多分、新青森駅はただの通過駅になると地元の人の多くが言っているが
(だから、新幹線開通の経済的効果も限定的な声が多い)、それを見越しての
立地だと考えれば先見の明ありか。

 新しい駅舎は気持ちいい。しかし、一歩外に出れば寒々しい環境と光景が広
がる。それでも、春からはきっとすばらしい輝きを見せるだろう。それを大い
に期待するが、この駅(新幹線)を今後も利用するだろうか。よっぽど仙台か
らの流れか、大雪が予想されて飛行機が厳しいときにしか乗らないだろうな。
やはり。


             (2011/01/24 人材開発メールニュース第614号掲載)


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